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「そうだ!失礼だぜ!」
「あいかわらず…デカイ声だ。声のボリュームを…下げろ。」
横に居る男の声がデカくて鬱陶しいのか、不機嫌そうに云う。
眉間に皺が深く刻まれている。
学園の校章が青色で刺繍が描かれたバッジを着用している男二人組。
それは紛れもなく上級生だという印。
2年生だ。
さっき新入生の容姿をチェックしていた人達は、3年生だ。
学園の校章の刺繍の色は、赤色である。
誉達は、緑色。
複数の2,3年生がホールに来た事で、誉達以外の新入生は上級生を見て、騒ぎ出した。
「皆瀬様と樋之木様だ!!」
「皆瀬様ーっ此方見て。」
「樋之木様、今日も凛々しくて冷たい表情。」
「あぁ…ゾクゾクする。」
「俺を踏んで下さい!!」
同級生はM男が多いみたいだ..
俺と世菜はそんな同級生に引いて、呆れていた。
「あ…。あの人達。」
男二人組の姿を見てから、亜矢斗の体は震えている。
「あぁ。亜矢斗の予想通り、“風紀委員”だ―」
朝の騒動を止めた風紀委員。
風紀委員長の樋之木朔斗(ヒノキサクト)。
副風紀委員長の皆瀬奈々尾(ミナセナナオ)。
(あの二人、そんな名前だったんだι)
淡々と風紀委員の名前を述べる世菜の声を聞き、俺は一人ボーとしていた。
苦手,嫌い,どうでもいい奴は、基本的に名前を覚えない。
忌々しそうにそれを見る、世菜。
「怖いッ‥…あの人達…苦手。」
そう云って、亜矢斗は世菜の後ろに隠れる。
「…?どうした、亜矢斗。」
「うぅ‥っ怖いよ。」
消え入りそうな、泣きそうな声。
「……」
誉は、二人の会話を聞きながら、此方に近付いてくるそれをじっと睨み付けた。
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