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「ちょこまかと動くな。このクズがッ」
トンファーの激しい攻撃を器用に避け続ける安。
「クズじゃねぇー。それはてめぇの方だ!!」
(口ではそう云えるが…なかなか反撃出来ねぇ。)
「どうした?動きが鈍ってる。
もう終わりか?」
逃げ惑う子羊は狼に食われる♪ 子羊は狼に食われた♪
昔読んだホラー小説に出てきた台詞が頭に浮かんだ。
………。
ふっ‥…そうだな。
逃げ惑う子羊は、浜津安。
狼は私、樋之木朔斗―。
朔斗は歪んだ笑み(狂気)を浮かべながら、トンファーの攻撃の動きをよりいっそう速めた。
「あぁー!もう!
この俺が負けるわけには、いかねぇ!!」
だって、兄貴が見てるんだから。
愛しの兄貴……。
防戦一方の状況に嫌気がさしてきた俺は、奴の腹目掛けて、蹴りを入れる。
トンファーの動きを速めて攻撃したが、なかなか決着がつかない。
それどころか、奴の体力が回復しているようにも見える。
攻撃は、奴の腕に阻まれる。
(くそっ…どうすれば。)
そ れ は 一瞬 の 気 の 迷い 。
「カハッ‥」
気がつけば、私は奴に腹に蹴りを入れられていた。
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