10人が本棚に入れています
本棚に追加
私が中学2年になった頃。
突然母が消えた。
男と駆け落ちをして、父と私を捨てたのだ。
父はそのことに怒り狂い、酒に溺れ、私への虐待はさらに増していった。
虐待を避けるため、夜中に家に帰る。
そんな生活が続いた。
しかし父はお酒が祟ったのか。
仕事中に倒れ、今では入院している。
どこかに癌があり、ほぼ手遅れだと言う。
だから今は延命のため、ずっと病院にいるのだ。
私が父のことを詳しく知らないのは、父に関心がないからだ。
父の母方に聞いた話しか知らない。
父が私のことを嫌っていたように。
私も父が大嫌いだ。
だからこの先どうなろうと、知ったことではない。
母のことも同じ。
今更捨てた人のことを捜して会いたいなんて、思えない。
家族なんか嫌い。
家族の愛なんて、信じない。
だって、家族の愛なんて知らないんだから―。
最初のコメントを投稿しよう!