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「え?じゃあ同い年じゃん」
高峰君は驚いたように声を上げ、でも嬉しそうに笑った。
声が大きくなったのに驚いて、思わず高峰君の方を見た。
「俺も今年で20歳!いやぁ~よかった。俺堅苦しいの苦手で、片瀬さん年上かと思ってたから、話掛けにくいなって思ってて。でもおないなら敬語使わなくていいし、仲良くなれそー」
「…年上だと思ってたんだ」
「気悪くした?それならゴメン!雰囲気落ち着いてて、大人っぽいから年上かなって」
「いや、気悪くしてないし。ただ気になっただけ」
止まっていた作業に、手を動かし始める。
「改めてよろしくな。美羽ちゃん」
すぐ隣で高峰君の声がする。
もう下の名前で呼んでるし…。
馴れ馴れしい奴だな。
「よろしく。高峰君」
「おないなんだから、君はいいよ!何かよそよしいし。孝二でいいよ」
…何で下の名前で呼ばなきゃいけないのよ。
高いテンションに付いていけず、げんなりしてきた。
早くここの作業終わらせて、次の説明にいこう。
そうすれば無駄な会話はなくなる。
「分かった。高峰」
私は高峰の方を見ることなく、答えた。
すると「ぷっ」と笑い声がした。
え?と思い横を見ると、高峰がまた大声で笑い出した。
「はははっ!美羽ちゃんておもしろー」
「…はぁ」
何がおもしろかったのか。分からない。
私はただ顔をしかめるだけだった。
でも。その笑い顔は見た目とは違って、とても可愛い笑顔だった。
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