第一章 忍び寄る危険

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「シズ!? って、うぉっ!?」 「?! 一体何……うわぁっ!?」 予期せぬ突然の出来事にレックスとウィムルスは目を見開くが、その瞬間立て続けに現れた巨大な蜘蛛によって二人の動きも封じられてしまう。 「おいおい、お前等こんな餓鬼共相手に何やってんだ?」 それに驚く間もなく、蜘蛛が現れた茂みからあの女性と一緒に一人の男が現れる。 肌が黒く、長い黒髪を後ろで束ね、右頬に大きな傷痕のある紫色の瞳をしたエルフ──ダークエルフの男だった。 「っ……!」 「何、こいつ……」 「くっ……!」 その男を見た瞬間、三人の背筋にゾッと強い悪寒が走る。 このダークエルフの男は、先程の男達とは比べ物にならないぐらい強い事を一瞬で悟った。 「ひっ……す、すいません! ボス!!」 「お、俺達……」 「言い訳は要らねぇな。さっさとこいつら運べよ、屑」 顔を真っ青にした男達二人にダークエルフの男は冷たく吐き捨てる。 瞬間、男達は弾かれたように立ち上がり、レックス達に近付き、手を伸ばした。 「待て! お前等の目的は俺だろう!? 二人にはっ、うぁああああああ!!」 シズティオラが口を開いた瞬間、檻から電流が流れ、シズティオラは悲痛な叫び声を上げる。 「煩いんだよ、資源のくせして」 「てめぇシズに何してんだ!! 大体資源とかふざけんな!! シズは物じゃ……ぐっ、ああああああああ!!」 「シズ!! レックス!! うああああああっ!!」 レックスやウィムルスの檻にも電流が流れ始め、二人も悲鳴を上げた。 「お前等もギャーギャーうるせえな、別に精霊以外は要らねえし、いっそ此処で……」 (っ……止めろ……) 電流により声が出せない中、シズティオラは唇を噛み締める。 ヒュオ…… 静かに風が吹き始め、その中でレックスとウィムルスの悲鳴が混じる。 「「うああ゛ぁ゛っ!!」」 (止めろ!!) ヒュオォ……… 風はシズティオラの感情に比例して段々と強くなり………。 「此処で殺すぞ」 「あぁあああああああぁああああああああっ!!!」 ゴォオオッ!! ダークエルフの言葉、そしてシズティオラの断末魔の叫びと共に破裂した。
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