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「う……ん……」
シズティオラは薄暗い闇の中で意識を取り戻した。
「っ……身体が……」
刹那、ビリビリと痺れるような痛みが走り、微かに顔を歪めながらもシズティオラは起き上がる。
するとジャラリ、と耳障りな金属音がした。
音のした方を見れば、シズティオラの手には手錠で繋がれていた。
「っ……レックス! ウィル! 大丈夫か……!?」
それに一瞬呆然とするが、顔を上げた瞬間、倒れているレックスとウィムルスの姿が目に入り、自身の痛みや混乱も忘れてシズティオラは二人に駆け寄る。
「慌てなくても大丈夫だよ。気を失ってるだけ」
「っ、 誰だ……!?」
不意に後ろから掛けられた声にシズティオラは振り返り、威嚇するように声の主を睨み付けた。
そこには背中まである澄んだ水色の髪に、碧色の瞳を持った美しい少年が座り込んでいた。
年齢はシズティオラ達と同じ程度で、少年は穏やかな笑みを浮かべながらシズティオラを見つめていた。
その手にはシズティオラ同様に手錠がしてあり、自分と同様に男達に囚われた者なのだと言うことが見て取れた。
「僕はルーリエ、君達と同じ様に捕まってしまったんだ。 えっと……だから敵じゃないよ?」
「そう、みたいだな ……ごめん、睨んでしまって……」
「別に良いよ、誰だってこんな所に閉じ込められたら不安になるもの」
バツが悪そうに謝るシズティオラにルーリエは首を振って優しく言う。
「でも驚いたな、精霊だけじゃなくてヒューマンやエルフの子まで此処に連れて来られるとは思わなかったよ。てっきり精霊だけだと思ってたのに」
「お前は……水の精霊、だな?」
「うん、そうだよ。君は風の精霊だよね?」
問い掛けるシズティオラにルーリエは頷き、次はシズティオラに向かってルーリエが問い掛けた。
「あぁ……そう言えば、俺はまだ自己紹介をしていなかったな……俺はシズティオラ。 長いからシズでいい、宜しくな……」
「こちらこそ。 宜しく、シズ」
挨拶を済ませた後、ルーリエはにっこりとシズティオラに微笑んだ。
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