第二章 水の精霊

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「凄い!」 「流石レックス!」 「武器無しで力を発揮出来る……格闘家の利点だな」 「ふっ、まあな! そんじゃ、取りあえずこの鉄馬車の強度を調べるから、少し待っててくれよ」 三人の賞賛にレックスは得意げに笑い、あちこち馬車を触り始める。 その言動にルーリエは首を傾げた。 「馬車を調べる? そんな事が出来るの?」 「おう、俺んち鍛冶屋だから金属とかには知識があるんだ」 「へぇ、凄いね」 「それ程でもないって」 ルーリエの真っ直ぐな褒め言葉にレックスは少し照れ笑いを浮かべる。 しかし……。 「そうそう、レックスからその知識取っちゃったら取り柄が無くなるよ」 「……あぁ」 その心地良い気分は、一瞬にしてウィムルスとシズティオラによって破壊された。 「煩いな!」 「事実だろう?現にお前のテスト成績の殆どは……」 「体育と技術工作以外赤点じゃん?」 「ああもうっ! そんなことを今暴露しなくても良いだろ!?」 「ははっ、仲が良いんだね」 レックス達のまるで緊張感のないやり取りを見て、ルーリエは可笑しそうに笑う。 それにポツリとシズティオラが呟いた。 「……幼なじみ、だからな。一応」 「そうなんだ?」 「ま、大抵三人で外を駆け回ってたね」 どこか楽しげに得意げに笑い、ウィムルスはそう補足する。 それに、ルーリエはどこか寂しそうに「いいなぁ……」と呟いた。 「僕、村では生活を徹底管理されてて、まともに外で遊んだ事も無かったから少し羨ましいや」 「……そうなのか」 「うん、でも……成霊の儀が来る前に少しでもこの世界を見ておきたくて村を抜け出した結果、あんな奴等に捕まってしまったんだけど」 「我ながら運がないと言うか、軽率だよね」と苦笑するルーリエにウィムルスは僅かに目を見開いた。 「ルーリエも、もうすぐで成人なの?」 「そうだよ。だからもう、この世界には来れないと思って……」 「何で? そんなのまだ分かんないよ」 「そうかな?」 キョトンとした様子で首を傾げるウィムルスに、ルーリエは首を傾げ返す。 それにウィムルスは頷いて、シズティオラに賛同を求めるように視線を移した。 「そうだよ。 ね、シズ」 「そうだな……まだ、断定は出来ない、と思う」 「そっか……うん、そうだね」 二人の言葉に、ルーリエは笑う。 「………」 その微笑みを、シズティオラはじっと見つめていた。
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