第二章 水の精霊

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「なあ、みんな。 この馬車かなり頑丈ではあるけど、この一部分だけは脆くなってるみたいだ」 その時、不意にレックスが動きを止めて三人へ振り返り告げる。 「お、本当?」 「じゃあその脆くなってる部分を集中攻撃すれば……」 「……此処から出られる……か」 「そう言うこと」 シズティオラの言葉を肯定し、レックスはニヤリと笑って見せた。 「ってなわけで、一丁魔法宜しく!」 「りょーかい」 「……あぁ」 「僕も手伝うよ」 ウィムルス、シズティオラ、ルーリエは小さく笑みを浮かべた後、詠唱を始める。 「小さな火種、現れ──ファイアボール!」 「風よ切り裂け──ウィンドカッター」 ルーリエ「岩をも貫く水の弾丸──アクアエッジ!!」 そして三人同時に魔法を放った。 刹那、 「ふぎゃあっ!?」 「へっ!?」 「おっ!?」 「あっ……!?」 「っ………!?」 三人の魔法が扉にぶつかる瞬間、馬車の扉が開き、魔法は扉に当たる代わりに一人の男にぶち当たった。 「な……んだぁ……」 そして男は涙目になりながらパタリと地に倒れ伏す。 「えっ、と……どうする?」 「と、取りあえず……逃げるぞ!!」 「う、うん!ごめんね、見知らない人!!」 「……少しだけ、哀れだな……」 その予想もしていなかった展開に四人は呆然としつつも、急いで馬車から逃げ出だしたのだった。
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