第二章 水の精霊

6/6
前へ
/88ページ
次へ
「おい、どうし……って、餓鬼共が逃げてるぅ!?」 「大丈夫かよ!?」 後ろで聞き覚えのある男の声が聞こえたが、四人は気にかけることなく、全力でその場から逃げ出す。 …―――――――――――――… 「はぁ……はぁ……もっ、無理……」 「さっ、すがに……疲れた……」 「……っは……はぁ……」 「はぁぁ……こんな、走っ……たの、初めて……。そ、言えば……此処、何処……?」 あれから四人は無我夢中で走り続け、息を切らしていた。 「はぁ……っ……そりゃ、エスリアのどっかだろ……っ、うわぁあああああっ!!?」 ルーリエの呟きに答えつつ、一番初めに息を整えて前を向いたレックスが、いきなり盛大な悲鳴を上げる。 「どうしたの……って、えええええええええっ!!?」 「なっ……!?」 「なっ、何……此処……?」 その悲鳴で他の三人も前を向き、ウィムルスはレックス同様声を張り上げ、シズティオラとルーリエは絶句した。 そこには巨大な建物が転々と建っており、四人が見たこともない光景が広がっていた。 「何だよ、此処……エスリアにはこんな場所、無かった筈だぞ!?」 「っ、そんな……まさか、まさかとは思うけど……此処って……帝国……?」 「………!!」 「嘘……」 「……冗談だろ……」 ウィムルスの絶望を孕んだ言葉にシズティオラは目を見開き、ルーリエとレックスは呆然と呟く。 四人はその現実に、暫し呆然と立ち尽くした……。
/88ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加