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「うぅ~……こんな異国の地で野垂れ死ぬなんて嫌だ……」
「俺だってやだよ……」
「……眠くなってきた……」
「……お金が無いんじゃ、宿にも行けないよね……」
あれから、人通りの少ない裏路地にて四人は座り込んでいた。
「はぁ……何でも良いから食べ物が欲しい……」
「……何をしている?」
途方に暮れながらレックスが呟いた時、ぬぅっと人影が四人を見下ろし、静かに声を掛けた。
「うぉ!?」
「わっ!」
「っ!?」
「ひゃあ!?」
その、些か突然過ぎる出来事に四人はビクッと身体を震わせる。
見ると、そこには黒服に身を包んだ、白い肌と純白に近い白銀の髪を持ったエルフが佇んで居た。
年の頃はまだ二十前半といったような、若い青年だ。
「お前達、こんな所で一体何をしている? もう子供は家に帰る時間だと思うが?」
「あ……俺達、帰れないんです……」
「何?」
ウィムルスの言葉に白銀のエルフは赤にも似た橙色の目を細める。
「……ふむ、何かしら事情があるらしい。 家に来るか?」
そして、暫くレックス達を見つめた後、白銀のエルフはそんな事を提案してきた。
「へ? いや、でも……」
それにレックスは一瞬目を見開いて言葉を濁す。
他の三人も顔を見合わせて困惑した表情を浮かべていた。
刹那、
グゥウウウ~……
まるで四人に「付いて行け」と促すかのように、盛大にお腹が鳴った。
「……〝身体は正直〟とは、よく言ったものだと思わないか?」
「うっ………」
「か、返す言葉がない……」
「……っ」
「え、えっと……」
クスっと笑う白銀のエルフの言葉に、四人は俯いた。
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