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「適当に腰掛けてくれて構わないぞ」
「……腰掛けるって……此処に?」
青年の言葉にウィムルスは一つの棺桶を指差して尋ねる。
「ああ、そうだが?」
それに対し、「問題あるか?」と青年はウィムルスに尋ね返した。
「……分かった……」
本当は問題が大有りだったが、四人は大人しく勧められた通り棺桶に腰掛ける。
青年はそれを見た後、「夕食を作って来る」と、部屋の奥に姿を消した。
「やっぱり、付いて来たのは間違いだったんじゃない?」
青年が姿を消して暫くした後、ウィムルスは開口一番にそう口にする。
「そんな事言っても……あのままじゃ、間違いなく飢え死に一直線だったよ?」
「だよな」
「……そうだけど、ぶっちゃけ怪しいじゃん……」
「誰が怪しいと?」
「ひぇっ……!」
「わぁっ!?」
「ひゃっ……!び、びっくりした……」
「………」
ウィムルスの呟きを聞き返しながら音もなく不意に現れる青年に、シズティオラ以外の三人は身体をビクつかせた。
「ああ、済まない。 驚かせてしまったようだな」
その様子に青年は軽く謝罪すると、トレイに乗せたサンドウィッチとお茶をテーブルに置き、自身も近くにあった棺桶に腰を降ろす。
「簡単な物で済まない……今はこれくらいしか作れなくてな」
「あ……い、いえ、ありがとうございます」
「えーっと……い、頂きます……」
「頂きます……」
シズ「……頂き、ます」
青年に軽く頭を下げて四人はサンドウィッチに控えめに手を伸ばした。
場所が場所だった為、流石に口にする事を少し躊躇ったが、結局空腹に負けてレックス達はサンドウィッチをあっと言う間に平らげたのだった。
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