第三章 帝国とシルバーエルフ

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「そのエネルギーとは妖精(エレメル)の事だが、精霊の加護……ひいては自然の無い地では、妖精は生まれない」 「そりゃあそうでしょ。精霊が生み出す自然によって妖精は生まれるんだから」 アティの言葉に、ウィムルスは「自業自得だ」とでも言いたげに答える。 それにアティは小さく頷いた。 「そう……その為、自然の枯渇はそのままエネルギーの枯渇に繋がる。 そうしてエネルギーが枯渇した帝国は、とうとう禁忌に触れた」 「……禁忌……?」 「妖精の代わりにその大元である精霊を捕らえ、強制的にエネルギーを生み出す、と言う禁忌だ……」 「……それが【精霊狩り】……」 「ああ……」 確認するように呟くシズティオラにアティは頷いた。 「馬っ鹿みたい! そんなの、機械だらけの生活を捨てれば良いだけじゃん!!」 「それがヒトの難しいところだ。 一度繁栄を手にすると、手放す事が出来なくなる」 「何それ! ただの甘えだろ!!」 「お、おい……ウィル。 少し落ち着けよ」 話が進むにつれ、ヒートアップして行くウィムルスをレックスが宥める。 「だってさぁ!!」 「ウィル、少し落ち着こうよ……アティさんを責めても仕方ないでしょう?」 「そりゃあ……そうだけど……」 「……アティは俺達の恩人だ……この帝国で何が行われているかもちゃんと説明してくれた……。少なくともこのヒトを責めるのは……このヒトだけを責めるのは違う」 「……分かったよ……」 ルーリエとシズティオラの二人にも宥められ、漸くウィムルスは気持ちを落ち着かせた。 「済まないな……良ければ今日は泊まっていくと良い。 どうせこんなボロ葬儀屋に客なんて滅多に訪れないから」 「あ……ありがとうな!アティ」 「……感謝、する」 「ありがとう、アティさん」 「……ありがと……あの……」 レックス、シズティオラ、ルーリエがアティにお礼を述べた後、ウィムルスも罰が悪そうにお礼を述べる。 「……さっきは、ごめんなさい……」 そして申し訳なさそうに、アティへと頭を下げるのだった。 「いや、謝罪の必要はない……こちらこそ、大して力になれなくて済まないな……ありがとう」 そんなウィムルスにアティはフッと、どこか悲しげに、けれど優しく微笑むのだった。
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