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その時……。
「おい、アンダーテイカー!居るか?」
ドンドンっと乱暴に葬儀屋の扉が叩かれると共に、聞き覚えのある男の声がした。
「! この声……!」
「っ、間違いない……」
「あのダークエルフ……!?」
「どうして……?!」
その声により、一気に四人の身体に緊張が走る。
「まさか、彼奴が此処へ来るとはな……少々手荒だが、赦せ」
アティも声を潜め、呟くようにそう言うと同時にパチンと指を鳴らした。
刹那、ギギィイ……と鈍い音を立てながら独り手に棺桶が開く。
そしてビュッと空を切り、棺桶から伸びてきた鎖がレックス、ウィムルス、シズティオラ、ルーリエの四人に巻き付いた。
「きゃぁあああっ!?」
「うわっ!? ……ア……アティッ……!?」
「なっ、何……!?」
「アティ、一体何をっ……!?」
その予想だにしなかった事態に四人は悲鳴を上げ、戸惑いの目をアティに向ける。
しかしアティは何も言わず、棺桶は無情にもバタンッ、とけたたましい音を立てて閉まった。
それと保々同時に……
「おい! 居るんだったら返事ぐらいしろ!!」
右頬に大きな傷痕を持つダークエルフの男──シグルが中へと入って来る。
「あぁ、何だ……シグルだったのか。済まない、また子供の悪戯か何かかと思った」
そして明らかに苛ついているシグルに、アティは平然とうそぶき、悪びれる様子もなく口先だけの謝罪を述べた。
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