彼女の願い事

4/5
前へ
/5ページ
次へ
「今日は……桜、元気…」 自分が誰だかわからない。 どうしてここにいるのかも…。 ただ、何故かここにこなきゃいけない気がした。 『桜が元気ってどうしてわかるの?』 声がするほうに向きを変えると、そこには綺麗な蒼の瞳の… 私と同い年くらいの男の人がいた。 「わからない。なんとなく…。 前見た時は悲しそうだったから。」 『前って…。よくこの公園くるの?』 「ううん。ただ、うっすら記憶にあるだけ。」 『…変わってるね。』 ……変わってる。 私は変わってる。 考えてみればたしかな記憶がない。 他人の事はおろか、 自分のことですら。 『俺学校いかなきゃ。また、ね。』 「さようなら。」 ズキッ な、に……頭が痛い。 それに何故か哀しい…。 行かないでって頭の中で何かか叫んで………… その瞬間、わたしの思考は止まった。 消えてゆく花火のようにゆっくりと闇に落ちていった。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加