先輩と後輩

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遠くの方から聞こえた声は、急いだ足音と共に近づいてきた。 手入れされた薔薇の間をくぐって、 長い栗色の髪をふたつしばりにし、色白の顔中どろだらけにしながら、噂の"毛色の違う猫" 龍川小百合(リュウカワサユリ)は飛び出してきた。 「図書館いってお昼寝するんですねっ!」 意気揚々と言い、制服の砂ぼこりをとっているが、肝心の顔についた土はとれてない。 「あははーっ!本当に見つかっちゃったうえに次の行動範囲までしっかり把握されてるね、てるてる~…!」 おどけたように優真は輝に肩をすくめて見せる。 だてに毎日輝先輩のおっかけしてないもん。 中庭から死角になってる教室のベランダからいつも寝てる輝先輩に見つからないように息を潜めながら見てる。 今日は昨日より優真先輩が起こしに来るのが10分早かったなぁ…。 きっと優真先輩の情報委員会の仕事、早く終わったのね。 いつも大変そうだけど、今日は余裕みたい。優真先輩の可愛らしい目の下にはくまさんが見えないから安心…。 でも、欲を言えば輝先輩の天使な寝顔、もうちょっと眺めていたかったな。 「…ふぅ。」
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