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まどろみの中にいる。
この世界はなんだ?
暖かい。居心地がいい。
いや、馴染むと言うのか?
「気ぃ付いたか?」
ふっとベッドの脇を見ると椅子に座った若い男が本を読みながら私に話しかけてきた。
「ここは何処だ?」
「お前の部屋に決まってんやろ!! 何寝ぼけとんねん!」
「私の部屋?」
「全く、朔ちゃんに伸びたまま担がれて来る男ってなんやねん。それでもワイの弟かっての!!」
そうか、私はあの小娘に負けたのか。
そして惨めにも敵に情けをかけられた訳だ。
若い男はすっと本を戻し、私の顔を眺める。
金髪の長髪が特徴的な端正な顔の青年だった。
ダグバ?
忘れもしない。
私の魂の為に命をかけて闘ってくれた戦友。
親友でありながら私の配下として尽くしてくれた唯一無二の理解者。
彼と瓜二つの姿をした青年が私を見つめている。
その青年の表情がだんだん重く険しいものとなる。
「お前は…… 誰だ?」
「なっ?」
私が分かるのか?
身体は違っても、魂が私である事が分かるというのか?
幾千もの時を経て
何度転生しようが、私達の友情は不滅……
「俺の弟を…弟をどうした?」
「えっ… 弟?」
私は金髪の青年に胸倉を捕まれ、揺さぶられる。
ああ、私達の友情がぁ……
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