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俺は白人の親父と日本人のお袋の間に生まれた。俗にいうハーフ。 お袋は親父を溺愛していた。 けど親父は違った。 俺が15の冬、親父は突然いつの間に作った愛人を紹介してきて 俺達と一緒に来ないかと誘ってきた。 お袋はキレると何をするかわからない。 だから逃げるって。   親父に出した答えはNO、面倒だし。 それに俺にはお袋を捨てる理由もない。 俺が16になって間もなく、親父は愛人と逃げた。 お袋はテーブルに残された親父からの置き手紙を読むなり発狂して、包丁片手に夜の街へ飛び出して行った。 朝になって帰ってきたのは警察官だった。 死体がお袋か確認してほしいらしい。 案内された病院の霊安室で死体が横たわっていた。 寝起きで、適当にパーカーを羽織っているだけだったから少し寒かった。 被せられていた布を捲ると、赤く腫れ上がった顔が見えた。 荒々しい形相が凝り固まったような表情。 いつも化粧をして気を遣っていた女の 成れの果て。 『母です』 そう言って俺は死体の頬に別れのキスをした。   ばいばい、可哀想なお袋。
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