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『ちょっとトイレ』 後ろで待っていた警察官にそう告げて、俺はトイレに向かった。無意識に手が口元を拭う。 迷いながらもトイレにつくと俺は洋式の個室に篭った。 途端に胃袋の中身が逆流する。俺は右手を伸ばしてセンサーへ手をかざした。 水が流れて俺の中身がトイレに吸い込まれてく。 何かがずっとつっかえている気がして指を突っ込んで吐き続けた。オェっとくるこの時の寒気のようなものが 嫌いだ。   警察の話によると、お袋は街で背広を着た外国人男性を包丁で刺そうとしたらしい。 男からすれば誰?って感じ。多分親父と背格好が似ていたかで間違えたんだろう。 奇声を発しながら向かってくるお袋を男はかろうじて避けたらしい。 男の後ろ側は道路になってて、たまたま車がきてた。 お袋は止まりきれずに飛び出た道路にてその車と衝突。車体に全身を強くぶつけたらしい。 だからあんなに腫れていたのか。と納得した。   警察はすごく判りやすく説明してくれた。 小学生に教えるように。 この容姿と片言しか発しなかったせいなんだろう けど残念ながら日本語は流暢な方だ。   親父に報告したら 夜に愛人と帰ってきた。   『おかえり、親父』
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