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玄関で親父と再会した時、愛人が足元に転がる赤いハイヒールを見つけた。
お袋のだ。
英語で親父と会話をしているが、俺にはわからない。なんだか気に入ったらしい。
愛人がありがとうと言ったのが聞き取れて、ハイヒールはめでたく愛人のものになったらしい事がわかった。
なぁ、お袋が気に入ってた靴とられちゃったよ?
愛人はしばらく喜んでいたが、ふと思い出したように片手に下げたビニルの袋を俺に差し出した。受け取って中を見るとアイスが入っていて、親父がもらってやってくれと言った。
俺は愛人に微笑みながら、この女はバカだと思った。
中へ入るように促してテーブルを俺と親父と愛人という奇妙な面子で囲んだ。
これで2度目だ。
既に溶け出しているアイスをくわえながら親父の話を聞いた。
どうやら夜の仕事をしていた愛人に親父が惚れて付き合いだしたらしい。
愛人に出会う前からお袋への気持ちは冷めていたから、どんな形であれいずれは離れる気だったと。
とりあえず頷きながら聞いた。
正直何が言いたいのかわからない。
こういうのは初めに愛人を紹介した時に言うべきだろう
仕事は出来るのに頭悪いな。
それにこんな話はどうでもいい
もうお袋はいないんだから。
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