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『私たちには他に住むところがある。お前はどうする?一緒にくるか?』 お袋が居なくても戻る気はないらしい。   『俺ここにいるよ。』 親父が愛人に俺が言った事を伝えると 愛人は寂しそうな顔をして親父に話しかけた。 『まだ若いのにって心配しているぞ。まぁお前は言い出したらきかないからな。 困った事があったらいつでも連絡しなさい。』 親父は連絡先が記された紙切れと何枚かの紙幣を置いた。 見送る玄関先で親父の後についてバイバイと手を振った愛人の手にはしっかりお袋のハイヒールが握られていた。  金には困らないはずなのに   バカな、女だ。
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