冷静の赤と情熱の青

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展覧会などの大きな催し物があった後は大抵が泊まり込みの作業だ 空になったこの美術館をまた復元するのだから 大変なのも仕方ない 休館日と併せて臨時休館日にしての突貫作業 肉体労働も甚だしい 今日と明日は帰れないとゆり子さんには告げて来た あぁ…… せめてシャワーくらい浴びたいなぁ…… 休憩時間に抜け出してやろう オレはシャワーや着替えもしたかったが なんといっても ゆり子さんの傍に少しでもいたかった 皆が夕食の弁当を食べ始めたのを見計らって コッソリ抜け出しす 部屋までは自転車で10分程の距離 シャワーを浴びてキスする時間くらいあるだろう 自転車を飛ばし帰って来ると店の灯りは消えていた 二階を見上げるとやはり暗い 出掛けてるのかな もしかして具合でも悪いんだろうか? 階段を二段づつ駆け上がって 鍵を空ける 「ただいまぁ……」 部屋は真っ暗で 月明かりだけが窓から入っていた 何か急用でも出来たのかな なんとなく胸騒ぎがする その時、いきなり部屋の電話が鳴りだし 飛び上がるほど驚いた
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