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「あれっ?先生ヒゲはどうしたの…」
「あぁ、これね…」
笑いながら顎のあたりをこする
「そろそろ、少しずつ想いでに変えていこうと…もう五年目だし自分にも変化をと思ってね…剃ってみたけど何だか落ち着かないよ」
そう言ってはにかんだ様な懐かしい笑顔をする
「結構、イケてますよ…若返った感じ」
「言うね~。君もスッカリ垢抜けちゃったね」
「あんまりだなぁ、これでも一応アーティストなんですよ。あぁ、そうだ…これ」
ボクは今日、先生に会いに来た一番の目的を忘れるところだった
カバンからハガキを取り出して差し出した
「へぇ、個展?凄いじゃない…青山のギャラリー?大したもんだねぇ」
と、ハガキをしげしげと見ていた
が、やがてその瞳は柔らかな眼差しに変わり
ハガキの中に描かれている人物を愛しそうに見つめながら少し寂しげに微笑んだ
「今日は先生に聞きたい事があって…」
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