夢見月

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『ミツキ…俺…昼の世界がこんなに眩しくて…鮮やかで…綺麗だなんて…知らなかった』   その言葉が僕の心に響く   日の光を知らなかったギンロウが切なく思えて…哀しくなる   『夢じゃないんだよな…俺は この光の世界でも生きてる』   僕に向かって振り返る坂口先輩の姿のギンロウは喜んでいた   『ずっとこのままなのか?俺は人間になったのか?…夜にはどうなる?』   ギンロウは今の状況が楽しくて仕方ない様子で興奮し僕に近寄る   『わ…分かんないだ…まだ一時的なものかもしれない』   『ミツキ…』   ギンロウは坂口先輩の姿で僕を力強く抱き寄せた   『嬉しい…今のままなら ずっと…ずっとお前の側に居れる』   『ギンロウ…』   朝になるとギンロウは記憶を無くす… その事がそんなに不安だったなんて気付いてあげれなかった   『ずっと俺のままで居たい』   切実なギンロウの本音   でも   待って   待ってくれ   じゃあ坂口先輩はどうなるんだ?  
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