夢見月

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『蒼井?』   不意に呼ばれ顔を上げる   『どうしたの?』   涙が流れ濡れてる僕の頬を優しく戸惑いながら暖かな指が拭ってくれる   『さ…坂口先輩?』   『何かあったの?』   坂口先輩だ……!   僕はホッとして腕を伸ばし坂口先輩の首に巻き付ける様にして抱きついた   『坂口先輩…先輩…』   安堵から再び涙が溢れた   優しい手が僕の背中を撫でてくれる   包み込む様な暖かな力加減で僕を抱き締めてくれる   『先輩…行かないで…何処にも行かないで…』   『……いるよ…ボクは蒼井の傍に居るよ』   心地よく響く暖かな声   きっと坂口先輩は傷つく事に慣れすぎて…現実逃避してる自覚がないのだ   『蒼井…どうした?何処か痛いの?』   泣きじゃくる僕を心配してくれる坂口先輩  
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