皆既月蝕

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『お前のような統主の何処にそのようなチカラがあるのか ずっと監視していた…』   『………』   監視…全く気付かなかった   鬼族の呪いには思った以上の効力があるのだろう   雷鬼の鋭く尖った爪先が僕の顎を持ち上げる   『香しい匂い…統主の香りは格別 その味もさぞ格別なのじゃろうの』   ゴクリと生唾を飲み込む雷鬼の喉仏が大きく動いた   『香りだけで 名を誇るアヤカシ達がお前の虜となるとは思えぬ…しかし何故かお前に惹かれる…』   何だ…?   何か雰囲気が…   『お前が欲しい…我のモノになれ…ギンロウなど半端な妖怪など比べ物にならぬほど愛してやろう』   背筋に悪寒が走る   ようするに雷鬼は僕に惚れてストーカーとなったのか?   『これを飲むのだ』   雷鬼は服の中から怪しげな緑の小瓶を取り出した   『それは…?』   ニタリと笑う雷鬼   『惚れ薬…これを飲むとお前は我のモノ…そして烙印で結ばれるのだ』  
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