皆既月蝕

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『旨いか?』   雷鬼に尋ねられ頷く   『お前は もう少し太った方がいいな 骨と皮ばかりじゃ抱き心地が悪い(笑)』   抱き心地が悪い?   そうか…雷鬼がそう言うなら もっと太らなきゃ   雷鬼に嫌われない様に   僕は口の中に食べ物をどんどん詰め込む   雷鬼に嫌われたくない   雷鬼に好かれたい   僕は一心に食べた   心の中がスッポリと抜け落ちた何かを埋めるように食べ物で満たす   何か分からない堅い肉が喉を通るのに苦戦し それをお酒で流し込む   『あんまり飲むのでは無いぞ まだ大事な儀式があるのだからな』   雷鬼にお酒を取り上げられてしまった   儀式?   『あと数時間で皆既月蝕が始まる 蝕に入ってる間は新月と同じ効果がある…その時が烙印の儀式のチャンスだ』   雷鬼は取り上げた僕のお酒をグイッと飲み干した    
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