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『雷鬼様』
部下の一人が オドオドと声をかけてきた
『何だ』
不機嫌そうに雷鬼は声を低める
『例の男が…突然気を失い 目を覚ましません…』
部下の言葉で雷鬼は舌打ちをした
『水でも ぶっかけろ!』
イライラしてるな…
何かあったらしい?
『それが…水でも目覚めず…』
部下は苛立つ雷鬼に脅え声を震わせた
『……ミツキ 少しお利口にして待てるか?ったく役に立たない部下だ』
雷鬼は僕を虎の毛皮の敷物に降ろすと億劫そうに立ち上がった
『すぐ戻るからな』
部下に僕の見張りを命じると雷鬼は部屋を出ていった
胸がざわめく…
雷鬼が居なくなってしまったからだろうか
たくさんの料理の前に僕はポツンと座っている
パチパチと暖炉の火が燃える音だけが部屋に響き余計に不安が広がってく
早く雷鬼が戻ればいいのに…何気に手を服のポケットに手を入れたら小さな黒い石ころが出てきた
何だろうコレ…
何かとても大事なモノだった気がする
僕は黒い石ころを見つめ続けていた
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