皆既月蝕

27/39
前へ
/742ページ
次へ
知らない景色が上下左右から流れる様に次々と変化していく   地に足がつかない浮かぶ身体が不安定で重力を感じない   黒い石を投げ捨てた事を後悔した   あの巨大なチカラだったら ここを抜け出せたかもしれないのに   『どうしよう…』   呟いた自分の声が籠って聞こえる   僕が瞬間移動をした事は誰も知らない   という事は誰も助けてくれない   第一ツキヨミ…アヤカシでさえ瞬間移動が出来る者は僕は知らない   『…誰か…助けて』   あれ?   いま何か心の中で引っ掛かる違和感   助けを呼ぶべき者を僕は知ってる筈だった   いつも僕を守ってくれるべき者を…   『雷鬼……違う…雷鬼じゃない』   僕は必死に思い出そうとする  
/742ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1358人が本棚に入れています
本棚に追加