皆既月蝕

31/39
前へ
/742ページ
次へ
雷鬼は声高らかに笑った   『愚かな半妖怪めっ人間のお前に何が出来る!ミツキの心は既に我のモノだ!』   そう言って力ずくで襲いかかろうと歩み寄る雷鬼   『来るなっ!』   僕はチカラを出す   今度はコントロール出来るチカラ…   僕たちを包むように光を纏う   『っ!?』   先ほどの光のチカラを見せつけられた雷鬼は後退り脅える   『雷鬼…君じゃ駄目だ…僕は雷鬼を愛せない』   『なにを……惚れ薬の効き目は確かな筈…何故…』   雷鬼は独り言の様に呟いた   惚れ薬…僕はそれを飲まされたのか   『薬なんかで心は奪えない 雷鬼…どんな手段を使おうとも僕は君の気持ちには答えられないんだよ』   僕は涙を流した   誰かを愛する気持ちは痛いほど知っている   雷鬼の気持ちを思うと切なくて胸が苦しくなる  
/742ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1358人が本棚に入れています
本棚に追加