皆既月蝕

33/39
前へ
/742ページ
次へ
『……今ようやく他のアヤカシ達が お前を認めてる訳が判った気がする…お前はアヤカシに対して…怖れず敬う心をもっているのだな…』   確かに雷鬼の言う通りかもしれない   人間はアヤカシに見習うべき事がたくさんあると思う   雷鬼は僕に銀色の小瓶を渡した   『解毒剤だ それを飲めば惚れ薬の効力はなくなる』   『ありがとう雷鬼』   僕は頷き小瓶の中の液体を飲み干した   クラリとする身体に僕は後退りする   『蒼井っ』   後ろから支えられながら僕は目眩に耐えた   数秒間の目眩はスーッと身体を頭の中をスッキリさせていく   入り交じった記憶がパズルの様に元の場所に当てはまってく   『蒼井?』   『………坂口…先輩…』   名前が顔が一致してホッと溜め息をついた   雷鬼は坂口先輩の胸元の御札に呪文を唱えるとボゥと一瞬で燃え上がり消えた   『……お前達を解放する …見ろ…皆既月蝕の時間だ』   雷鬼は鉄格子の嵌められた小さな窓から見える月を視線で促した  
/742ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1358人が本棚に入れています
本棚に追加