皆既月蝕

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僕たちは皆既月蝕を見るために外に出た   足場の悪い一面岩場…青鬼族達が大きな一枚岩の上に集まり出していた   『凄い…』   見上げると真上に月が赤く陰ってく月蝕   『大気の塵によって赤の鮮やかさが反映するのだ』   思った以上に赤く染める月は妖艶で美しかった   『綺麗だね蒼井…』   『はい』   不思議な感じだ   今アヤカシ達に囲まれて   坂口先輩と月蝕を眺めてる   『…坂口先輩…ギンロウと話したって本当ですか?』   坂口先輩は苦笑する   『今でも夢じゃないかって思うよ…でも実際 こんな光景を見たら信じざるおえない』   青鬼族を見回して坂口先輩は肩をすくめた   『…世の中はボクの知らない世界が広がってたんだね…凄いよ……ボクは狭い世界しか見てなかった…目が覚めた気分だ』   坂口先輩は生き生きと瞳を輝かせる   『もっと知りたい…この世界の事を…そしてそれらを表現し絵を描きたい』   『坂口先輩…』   嬉しい…   この世界を受け入れ   絵を描きたいと言ってくれた   もう大丈夫だ   坂口先輩は消えてしまったりしない  
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