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唾液は濃厚な糸を引きながら唇と唇が離れ 僕はゆっくりと目を開く
『…ギンロ……!!』
見上げたギンロウの目が真っ赤に染まっているのに驚愕する
『ギンロウ?』
呟く唇が震え
火照っていた身体は一気に醒めていった
何故?
たったいま
愛している と言ったギンロウが敵意の妖気を僕に向けている
『っ!!』
赤く染まったギンロウの瞳が僕のチカラを奪うように睨み付けた
全身の力が抜けていく…
『ぎ…ん…ろう…』
ギンロウに初めて会った時を思い出す
全身の力を奪われ
犯された
どうして
どうして
それだけが頭を過る
【統…主…】
だれ?!
【ツキ…ヨミ…統…主よ】
頭の中に突然 知らぬ声が響く
目の前のギンロウが霞んでいき…僕の意識は誰かに呼ばれるようにして飛んだんだ
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