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『その傷口は 昨夜 吸血コウモリの子供が鳥居に引っ掛かり身動き出来なかった所を貴方は助け その時に出来た傷ですね?先ほど吸血コウモリの仲間が報告をくれました…そんな貴方を殺そうなんてワタクシは絶対に致しません』
オレは傷口の原因を知られていた事を恥じる
吸血コウモリを助けたくて助けた訳じゃない…
ただ鳥居を修復するのに邪魔だっただけ
動けなかった小さなコウモリを払っただけだ
あのコウモリも突然現れたツキヨミに驚き そして黙って払われて つい小さな爪がオレの腕を傷つけてしまった
それだけの事だったのに
こんな事に なるなんて…
『カイ様 ワタクシは貴方が誰よりも気遣いの出来る優しいお方だと知っております ずっと貴方を見ていましたから……貴方を助けたい…ワタクシはカイ様を失いたくありません』
オレを見ていた…?
ケイじゃなくオレを?
失いたくないだって?
何だよそれ…
『煩い……黙れ………お前がオレの何を知ってる…?』
ダメだ視界さえぼんやりしだした
カラス天狗が意味の分からない事を言ってる
よく通る涼しい声で…
意識が遠くなっていく様な感覚の中
カラス天狗は悲しそうな瞳がオレを見つめていた
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