カイの憂鬱Ⅱ

3/33

1358人が本棚に入れています
本棚に追加
/742ページ
『また怪我ですか?』   カラス天狗は小さく溜め息をつく   オレは色々な理由を作ってはカラス天狗の元に通っていた   『お願いですから もう少し ご自分を大切にして下さい』   カラス天狗はオレの手をとり甲に出来た かすり傷に薬を丁寧に塗る   うつ向くと長い髪がサラサラと肩からこぼれ それを邪魔にならないように耳にかける姿にドキリとさせられる   『痛みますか?』   じっと見つめるオレにカラス天狗は首を傾げる   一つ一つの仕草に曳かれている   恋に溺れるってこういう事なのだろう   『カイさん?』   答えないオレの名を涼しい声で呼ぶ   カイ様を止めさせたのはオレ   だってオレは統主でもないんだし カイ様なんてオレらしくない   『大丈夫だ…あ~喉乾いた お茶煎れてくれよ』   カラス天狗は頷き手慣れた風にお茶の用意をしはじめる   種類わけされた たくさんある茶葉の入った綺麗な入れ物   『カイさんは少し寝不足気味みたいですから この茶葉にしますね』   相変わらずオレの体調を見抜くカラス天狗   オレは それが嬉しかった   カラス天狗と居ると心身共に安らぎ癒される  
/742ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1358人が本棚に入れています
本棚に追加