1358人が本棚に入れています
本棚に追加
/742ページ
『また怪我ですか?』
カラス天狗は小さく溜め息をつく
オレは色々な理由を作ってはカラス天狗の元に通っていた
『お願いですから もう少し ご自分を大切にして下さい』
カラス天狗はオレの手をとり甲に出来た かすり傷に薬を丁寧に塗る
うつ向くと長い髪がサラサラと肩からこぼれ それを邪魔にならないように耳にかける姿にドキリとさせられる
『痛みますか?』
じっと見つめるオレにカラス天狗は首を傾げる
一つ一つの仕草に曳かれている
恋に溺れるってこういう事なのだろう
『カイさん?』
答えないオレの名を涼しい声で呼ぶ
カイ様を止めさせたのはオレ
だってオレは統主でもないんだし カイ様なんてオレらしくない
『大丈夫だ…あ~喉乾いた お茶煎れてくれよ』
カラス天狗は頷き手慣れた風にお茶の用意をしはじめる
種類わけされた たくさんある茶葉の入った綺麗な入れ物
『カイさんは少し寝不足気味みたいですから この茶葉にしますね』
相変わらずオレの体調を見抜くカラス天狗
オレは それが嬉しかった
カラス天狗と居ると心身共に安らぎ癒される
最初のコメントを投稿しよう!