カイの憂鬱Ⅳ

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『……カラス天狗には僕から伝えておこう』   統主は気まずい雰囲気で言った   きっと事情は筒抜けなんだろう   少し前のオレなら こんな風に同情されると苛立ちを覚えてた   『聞かれたらで結構です…すみません…何か面倒な事になってしまい…』   素直に頭を下げる   統主は一瞬面食らった表情を浮かべそして頷いた   後ろに控えてるギンロウは特に気にする素振りも見せない   いつもなら人の不幸をニヤニヤと嬉しそうに眺める奴なのに   この二人は知ってる   アヤカシと人間の恋を   きっと この二人も色んな試練を潜り抜けてきたに違いない   オレは統主の部屋を出た   何度も思った事がある   何故オレは統主じゃないのだろう   オレが統主なら…と     でも今は違う   統主でなくても オレにしか出来ない事があるんだ   オレはツキヨミ   人間を捨てツキヨミとして生涯を生きていく   そう心に決めた  
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