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『言った通りだろ カラス天狗の手紙みて コイツに隙ができた』
シュウの声がボンヤリとした意識の元で聞こえてきた
カラス天狗の手紙……あれは罠だったんだ
いや…最初からオレは騙されていた
人懐っこい…シュウに
オレはゆっくり目をあける
『あ~あ もう目が覚めちゃった』
シュウはオレの目の前に座り込んで笑っていた
『残念だったね カラス天狗に会えなくて』
『お前…』
身体が動かない
何かの植物の蔓が全身に巻き付いている
刺のついた蔓が身体を動かす度にギリギリと全身をしめつけた
『ダメダメ動いたら…大切な体液がなくなっちゃうでしょ?』
クラリとする 巻き付いた刺によってずいぶん出血している…蔓はシュウの指先から延びていた
『アヤカシ…?』
シュウはアヤカシだったのか?いや…妖気は全く感じないぞ…
『中身はね…人の皮を借りてるっていうか寄生してるんだぁこの身体に♪そのお陰で日中も歩けるし妖気も漏れない』
無邪気に微笑むシュウ
その後ろで佇むテンマ
『あっテンマには寄生してないよ コイツは餌だから 何でも言うこと聞くボクの下僕』
テンマ…テンマの心中はすぐに理解できた
愛するシュウがアヤカシに寄生され…逆らう事など出来なかったのだろう
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