同窓会

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同窓会

「おれらが卒業してちょうど10年。こうして集まれたことに…乾杯!」 こんな悪天候の中よくこれだけの人数が集まった。 かさは差していたがスーツの袖や足元、靴は中まででびしょびしょだ。 久々にみんなに会えるという懐かしさに、天候は関係ないのだろう。 おれは集合時間より遅れてきたせいで端っこのほうの席になった。 「今日は声かけてくれてありがとう。転校ばっかであんまり長い間みんなといられなかったけど、同窓会に呼んでもらえてうれしいよ」 「当たり前だろ。卒業の時、10年後みんなで同窓会やるって約束しただろ」 「懐かしいね、今日はみんな来てるの?」 「みんな来てるよ、ただ 川島だけ来てないよ。川島だけはまだちょっと来れないんだよね」 と話をする中やっと思い出した。隣の席にいるこの同窓会の幹事…こいつはタケル、田中猛だ。 そういえば、タケルは小さい頃から仕切り屋で学級委員もやっていた。何年たってもその性格は昔のままなのだろう。 懐かしい面々を見ると忘れていたことが次々と甦ってくる。 「参加できてよかった」 心の底からそう思った。
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