5人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
同窓会
「おれらが卒業してちょうど10年。こうして集まれたことに…乾杯!」
こんな悪天候の中よくこれだけの人数が集まった。
かさは差していたがスーツの袖や足元、靴は中まででびしょびしょだ。
久々にみんなに会えるという懐かしさに、天候は関係ないのだろう。
おれは集合時間より遅れてきたせいで端っこのほうの席になった。
「今日は声かけてくれてありがとう。転校ばっかであんまり長い間みんなといられなかったけど、同窓会に呼んでもらえてうれしいよ」
「当たり前だろ。卒業の時、10年後みんなで同窓会やるって約束しただろ」
「懐かしいね、今日はみんな来てるの?」
「みんな来てるよ、ただ
川島だけ来てないよ。川島だけはまだちょっと来れないんだよね」
と話をする中やっと思い出した。隣の席にいるこの同窓会の幹事…こいつはタケル、田中猛だ。
そういえば、タケルは小さい頃から仕切り屋で学級委員もやっていた。何年たってもその性格は昔のままなのだろう。
懐かしい面々を見ると忘れていたことが次々と甦ってくる。
「参加できてよかった」
心の底からそう思った。
最初のコメントを投稿しよう!