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─1─
「必殺技が欲しい」
そう口を開いたのは、ディープブルーの髪に朱くぎらつく瞳を持った少年、絶対強者こと沖弐圭だった。
今は昼のファミレスで、向かいの席には、アイドルも顔負けの顔立ちに、丁寧にセットされた茶髪の佐賀浦創也がポロッと口からパフェを落としている。
「必…………殺技?」
「アァ、つかまァ殺さなくてもいいんだけどよ、秘奥義とか欲しい」
「……………………」
パクリ、とパフェを食べる佐賀浦。
「俺もよォ、秋月のやろォにぶっ飛ばされてわかったんだわ。弱いままじゃダメだってな」
「いやそりゃわかったけど…………なんでそれが秘奥義とかになんの?」
訳が分からないとでもいうように肩をすくめる佐賀浦。
「あのな、実はよ、秋月のヤツはさ、次世代魔術を発動するまえになんか叫ぶんだよ」
「え?まじ?」
「アァ、確か…………『荒ぶるう雷、ライトニング』だとか」
「……それなんか中2っぽくね?」
「アァ、だけどアイツはそう言わなきゃ発動できないらしい」
「難儀な次世代魔術だな」
「アァ」
と、そこで沖弐はオレンジジュースを一気に飲み干して口を開く。
「だがよぉ、もし技名が『ザルツカートッフェルン』だとしたらどうだ……?」
「……!…………お前天才か……?」
「よせよ恥ずかしい」
「ザルツカートッフェルン…………ヤベェ……超強そう」
「アァ……だろ?」
クック、と満足げに笑う沖弐。
そう、これは昨日ふと耳にした言葉だったのだ。
「語感的にはドイツか……?」
佐賀浦が感動しながら口を開く。
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