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ウィン……
「いらっしゃいませ」
「いらっしゃいませェ」
「頑張ってるな、2人とも」
「あ、沙紀先生」
「チッ…テメェかよ」
店に入ってきた人物は、白衣を身にまとい、口には電子タバコ、すっと肩まで伸びた髪を上でまとめあげ、綺麗なうなじを見せている彼女は、藤田沙紀。
藤田沙紀先生だ。
右腕はとある事情により切断したものの、やっぱり綺麗だなぁ、と普通に感心してしまい、なんというか違和感がない。
片腕がないのも、ある意味似合っているのだ。
「バイトとは珍しいな、沖弐」
「よく言いますねェ、テメェが無理やり押し込んだクセに」
「ふん、感謝するんだな。この店の店長を脅し……あ、いや、うん………とりあえず感謝しろ!」
「他人に不幸しかバラまいてネェぞテメェ」
「お前みたいな世間知らずには丁度良いだろう?」
くっくっ、と嫌みたっぷりに笑う彼女は、少しだけ電子タバコを口から離す。
「秋月もご苦労だな」
「まぁ楽しいですよ」
「くっくっ、お前は男女問わず仲良くなるのは得意だからな」
とは言っても鈍感だかな、とまたもや、くっくっ、と笑う。
なんだか子供みたいな笑い方だなぁ、とか春一が思っていると、沖弐はうざったらしそうに口を開いた。
「つうかよ、さっさと買って帰ってくれませんか?目障りだ」
「ガキだな」
「アァ!?」
「くっくっ………」
笑いながら彼女は商品を掴むと、沖弐に手渡す。
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