「あ、ども、今日からお世話になる秋月って言います」【未完】

13/13
前へ
/90ページ
次へ
ウィン…… 「いらっしゃいませ」 「いらっしゃいませェ」 「頑張ってるな、2人とも」 「あ、沙紀先生」 「チッ…テメェかよ」 店に入ってきた人物は、白衣を身にまとい、口には電子タバコ、すっと肩まで伸びた髪を上でまとめあげ、綺麗なうなじを見せている彼女は、藤田沙紀。 藤田沙紀先生だ。 右腕はとある事情により切断したものの、やっぱり綺麗だなぁ、と普通に感心してしまい、なんというか違和感がない。 片腕がないのも、ある意味似合っているのだ。 「バイトとは珍しいな、沖弐」 「よく言いますねェ、テメェが無理やり押し込んだクセに」 「ふん、感謝するんだな。この店の店長を脅し……あ、いや、うん………とりあえず感謝しろ!」 「他人に不幸しかバラまいてネェぞテメェ」 「お前みたいな世間知らずには丁度良いだろう?」 くっくっ、と嫌みたっぷりに笑う彼女は、少しだけ電子タバコを口から離す。 「秋月もご苦労だな」 「まぁ楽しいですよ」 「くっくっ、お前は男女問わず仲良くなるのは得意だからな」 とは言っても鈍感だかな、とまたもや、くっくっ、と笑う。 なんだか子供みたいな笑い方だなぁ、とか春一が思っていると、沖弐はうざったらしそうに口を開いた。 「つうかよ、さっさと買って帰ってくれませんか?目障りだ」 「ガキだな」 「アァ!?」 「くっくっ………」 笑いながら彼女は商品を掴むと、沖弐に手渡す。
/90ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加