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「佐賀浦とは顔合わせる度ケンカしてたのに……なぁ」
前田はため息を吐く。
分からない。全く理解を得なかった。
それに、というわけではないが、確かに最近の沖弐と佐賀浦はどこか好戦的で、前線にでるときには、いつも2人で出るようになったのだ。
普段なら前田が間に割り込み2人の仲を取り持つぐらいだったのに。
「でも仲がいい事はとってもいいことなの」
「ま、まぁ……確かに沖弐もあんまり怒らなくなったしぃ」
「うん、なの」
絶対劣化指揮権【ミオ・インフェリア】はどこか寂しげに、東雲は嬉しそうに頷く。
だがそんななか、前田だけはどうも納得がいかなかった。
(春一の影響か……………?倒されて、春一をライバル視してんのかもだぜ)
もしかしたら、沖弐は春一を倒そうと更なる力を求めているのかもしれない、と前田は思った。
それはマズい事だ。
現状なら、まだチーム内の違和感で済むが、これは遊びじゃないビジネスだ。
「…………………」
「キャハ☆どしたのよ、リーダー」
「うんにゃ、なんでもないぜい」
前田はそう言いながらも携帯電話を手にする。
もし沖弐の狙いが春一だとしたらマズい。
「俺は────」
バァアン!
「ワリィな、遅れた」
「うぃーす、東雲ちゃん、ミオちゃん、久しぶりー」
前田の言葉を遮るかのように問題の2人が登場した。
前までなら沖弐と佐賀浦が2人して拠点にくるなどは有り得ない事だった。
「前田ァ、どうしたんだよ?」
「……いや、なんでもないぜ」
沖弐と佐賀浦はドカッとソファーに座る。若干だが沖弐は前田を気にしていたものの、すぐに佐賀浦と談笑を始める。
「佐賀浦、テメェの方はどうだ?」
「あぁ?調子いいぜ、世界が変わって見えるわ。マジで」
「クックッ…だよなぁ」
「おう」
頬を緩ませ合う2人を見て前田は思考をはりめぐらす。
が、次の一言で、前田は確信と杞憂を得た。
「ザルツカートッフェルン……クックッ……俺に相応しい秘奥義だわ」
「お前が命名したスティロ・ディアルキアスも最高だぜ」
(──────!)
話しをよくよく聞くと、どうやら2人で自分に技名をつけたらしい。
とりあえず格好いい言葉、うん。
「キャハ☆沖弐、なんの話をしてんの?」
「私も話に混ざりたいの」
盛り上がる2人を見て、ミオも東雲も興味津々で2人を見る。
満足そうに沖弐は笑うと、雄弁に語ってみせる。
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