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ロジェード・バルコロル・デスタ=コレは貴族の四男坊だが、手先の器用さとセンスの良さで工芸者として身を立て、竜法院保管局工芸部の中堅として働くまでになっていた。
「そりゃ、そちらこそおめでとう。順風満帆の経歴じゃないか。行く末は部長か、局長か」
幾つかある応接室の一つに案内されながら、カラックは旧友に賛辞を送った。それをうけて、ロジェードがはにかんだ笑みを浮かべる。
「そこまではどうか分からないけれど、今回君達の竜石の細工を任された事は、僕にとっての一大転機だったってことは確かだね。作っていて全く興奮したよ。史上最大サイズの竜石と、伝説の業火の竜の竜石。どれも、誰も手にした事のない物ばかりだ」
そこで申し訳なさそうに囁く。
「カリオン。すまないけど、ここは禁煙なんだ」
「おお、わりい」
カラックは肩をすくめると、煙草を片方の手のひらに押しつけて火を消した。それを見て工芸員が目を丸くする。
「君……熱くはないのかい?」
「熱いさ。でも仕方ないだろ? 禁煙なら灰皿もないだろうし」
ヴァルドはこともなげに言うと、指先で念入りに消した吸殻をポケットに入れ、高い音を立てて両手を払った。
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