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明くる日の昼下がり
少女はパタパタと急がしそうに屯所の廊下を働き回っている。
いつものように見られる光景に幹部達は目を細めるのだった
彼もその一人
誰も見たことないような、優しい笑みを浮かべている
陽当たりよい縁側に横になっている彼は、うとうと…
「あれっ沖田さん、こんな所で昼寝してたら風邪ひかれますよ?」
ひょこっと
顔を出す少女
目を覚まさない彼に、少女は困惑気味
一方、彼はいたずら上手
それに彼にとって少女は絶好の獲物なのである
気持ち良さそうに、
すやすやと眠っている彼を無理に起こすことはあまりに可哀想だと思った少女は…
彼の横にコロンと横になり、
いつも黒い微笑を浮かべ少女に意地悪をしている彼とは考えられないような綺麗な寝顔に少女は見入ってしまう。
まったく起きないようすの彼に、
「いつものお返しです」
少女は、
自分の髪を結っていた結紐をシュッと外し
彼の顔にふわっとした前髪を、
ちょんまげのようにくくってしまうと
少女はクスっと笑ってしまうのを、慌てて両手で口を押さえつけて音を立てないように、その場から逃げ出す………
………。
とは、いかないようです。
「どこ行くの?」
先ほどの美しい寝顔の面影はもうなくいつも以上の黒いオーラがゆらゆらと見えるような気がする。
微笑んでいる笑みが逆に恐ろしい
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