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「えっと……鬼のパンツって強いって聞いた事があるんだけど」
その時、私の頭の中では、“鬼ぃーのパンツは良いパンツ♪”がリフレインしていた。
彼は、そんな私の頭の中を覗いたかのように答えた。
「そりゃね、ピカピカのパンツはスッゴく強いよ? でも僕のパンツ、お兄ちゃんと、そのまたお兄ちゃんと、またまたお兄ちゃんと……うんといーっぱいのお兄ちゃんが履いたから、もうヨレヨレなの」
彼の家は大家族らしい。
私は納得した。
私は彼程じゃないが、三人姉妹の一番下だ。
姉二人はとても出来が良く、両親に可愛がられている。
私はというと、成績も運動も、そして容姿も並以下だ。
服はいつもお下がり。
誰にも褒められた事なんてない。
私は彼に共感を覚えた。
「そっか……。そのパンツ、縫ったげようか?」
それくらいなら、私にだって出来る。
彼は私の言葉に、涙に濡れた瞳を輝かせると、
「ほんとに!?」
そう言って、パンツを脱ぎ始めた。
私がそれを止めたのは言うまでもない。
そして彼に待つように言うと、ジャージと裁縫道具を持って、屋上に戻ったのだった。
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