第1章【Down the Rabbit-Hole】

7/8
前へ
/70ページ
次へ
城の外は賑やかな町だった。 誰かまともな人間を探そう。 沢山人が歩いているがやはり頭の比率が大きくゲームチックだ。 町の外見も人も人気のRPGゲーム【マジック ストーリー】通称マジストに似ている。 確か今3まで出てたよな… そこまでゲーム好きじゃないからあんまり覚えてないんだけど… 街を歩いている同年代の男に話しかけてみる。 「なぁそこのアンタ、ここはどこなんだ?」 立ち止まり男は言う。 「ケータイってホント便利らしいな!その他で死亡回数や歩いた歩数、倒した魔物図鑑なんてものも見れちゃうんだってさ!」 ただの典型的な説明キャラだった。 よく見たらアイツ同じ所を円を描くように歩いているだけだ。 こんな奴に自我がある訳ないじゃないか。 「あー…ありがと。」 一応礼を言う。 「ケータイってホント便利らしいな!その他で死亡回数や歩いた歩数、倒した魔物図鑑なんてものも見れちゃうんだってさ!」 話し掛けられたと認識されたようでまた同じ言葉を繰り返す男を無視しケータイの【その他】を押して見た。 死亡回数 :0回 倒した魔物:0匹 そりゃそーだ。 まだ何もして無いんだから。 歩いた歩数:77歩 おっ!7のゾロ目だ! 何か幸せ。 プレイ人数:4人 ………やっぱりいるんだ。 少し少ない気がするがとにかく一人じゃなくて良かった。 他の三人はグループだろうか? 帰り方を知っているだろうか? 向こうも自我のある人間を探しているだろうか? …にしても倒した魔物の数って事は敵が出てくるのだろうか? 俺殺されないよね? いや、死亡回数があるって事は生き返られるって事だろう。 非現実的だが今更言っても仕方ない。 確かマジストでは主人公が殺されると教会に送られて復活させてくれる。 教会を探して見よう。 周りを見渡すと遠くに十字架が屋根と屋根の間からチラッと見えた。 走って駆け寄ると教会っぽい建物がある。 ドアの近くに女の人が居たので話しかけて見る事にした。 「お~い。」 「。」 「あれっ?なんつった?」 「。」 「あっ!ひょっとしてプレイヤーがからかってんのか?」 「。」 こっちを向いて何か喋ろうとはしているが何も聞こえない。 不気味なので無視して教会に入る事にした。
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加