引力

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その時あたしは、今の彼氏にうんざりしていた。 出かけるたびに口をひらけば『エッチしよう』。 そのたびに言い訳を考えるのに必死だった。 彼氏とのメールはもう日課と言うか義務化されている感じで、正直別れてもいいと思っていた。 副店長には家庭があり小さい子供も2人いた。 最低だと思われるかもしれないけど、うらやましいなんて思わなかった。 ある日、閉店間際に副店長が買い物をしていた。 話しかけると明日は子供の誕生日でパーティーをするらしい。 -へぇ、すごいですね!いいぢゃないですかっ! そんなことを言ってみたが内心どうでもよかった。 ただなぜか少し悔しかった。 きっと副店長は愛妻家で家庭思いで子供を大事にしていて見本のような父親、、そんなイメージがあたしの中で定着していった。 その後も副店長の家庭環境を知れば知るほど、なぜか自分の中で複雑な気持ちが増えていった。 副店長は今年40歳。奥さんは若いらしい。そして子供は小さい。きっと遅くに結婚したから奥さんと子供が大事で大事で仕方ないのだろう。
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