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昼さがり、貴方は私を屋上に呼び出し、こう言いました。
「柳生、?」
貴方は私を疑っていた。
それもそうだ、仁王くんが私のフリをして貴方に近づいていた。
だから、
だから私と仁王くんの見分けがつかないのだろう。
彼女に見分けがつかないのは私としては悲しいが、変装は完璧。
間違えるのは無理もない。
「秋さ、」
「柳生ごめん」
「…」
「私、見分けれなかった」
泣きながら彼女は言った。
「私、柳生と間違えて、アイツに…仁王にキスした」
知っていた。
私のフリをして仁王くんが彼女に手を出していることを。
「もう、」
再び彼女は口を開く。
やっぱり目に涙を浮かべながら。
「私……柳生を好きでいられる自信がない、」
【嗚呼、私は貴方を泣かせてしまったのだろうか】
(別れましょうか)(う、ん…)(では、)
I cannot wipe the tears even if you cry.
(貴方が泣いても私はきっと涙を拭えない)
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