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周りの大人達は、小声で話している。
「まだ、お若いのにねぇ。」
「あんな小さい子を1人残して…。」
「本当。可哀想にねぇ。」
皆して、心にも無い事を言いあっている。
(本当は、自分に関係の無い事だからどーでもいいくせに。人は何でああやって心にも無い事を簡単に言えるんだろう。)
そう思っていた。
でも、俺はすぐに心にも無い事が簡単に言える事を知った。
親を亡くした俺は、親戚に預けられる事になった。
その家は北海道の方にあって、この東京を離れる事になった。
最初は自分の子の様に可愛がってくれたおじさんもおばさんも、俺が成長するごとにだんだんと冷たくなっていった。
この家には俺以外に、3人の子供がいた。
3人を育てるだけでも大変なのに、そこに俺が来た事で余計に生活が苦しくなっていた。
俺はその事に薄々気が付いていた。
中学生になって俺は、おじさんとおばさんに東京の高校に行くと言った。
それを聞いたおじさんとおばさんは、「まだ家を出るのは早い」「心配すぎる」だとか、心にも無い事を言っていた。
(本当は、泣きたい位嬉しいくせに…。顔が笑ってる…。)
そんな事を俺は思っていた。
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