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――――……
俺は、あの事件を堺に人間を嫌いになった。
親戚に預けられてから…いや、親を亡くしてから心の底から笑った事が無かった。
段々と俺は、人に愛想を良くしている自分が馬鹿馬鹿しくなった。
それから俺は、中学を卒業して東京のこの高校に入学した。
俺は、授業も出ず屋上でサボってばかりだった。
この屋上は、お気に入りの場所だ。
誰の邪魔も入らない。
この学校で唯一、一人になれる場所だ。
ここからは、この町が一望できる。
放課後。フェンスに寄りかかりながら、夕日を眺めていた。
町全体をオレンジ色に染めるその夕日の輝きは、とても綺麗なはずだ。
だけど今の俺には、全てがモノクロに映ってしまう。
俺は、夕日が全て沈む前に家に帰った。
――――……
夢を見る。
いつも同じ夢を。
白いヘルメットを被った男達が、救急車に人を運んで行く夢を。
運ばれて行く人には、白いシーツが肩まで掛けられている。
その人は、苦しそうな顔をしている。
そして白いシーツには、俺の嫌いな赤黒い色をした染みが、ジワジワと広がっている。
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