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そしてハイゼンベルクが意識を失い、クロイツやエリスを始めとした隊員達もまた、休息をとった
それなりの長旅なのだから、体を休めておかねば戦闘に差し障りかねない
常在戦場
休める時に休むのもまた、基本中の基本であり、鉄則
それを、彼ら以上によく知る者はいまい
全員が休息モードに入ると、まるで部屋は遺体安置所のような雰囲気になっていた(若干一名、事実瀕死な男はいるが)
誰一人として身動き一つせず、寝息すら、艦の音にかき消されて聞こえない
だがその休息は、一瞬の異変で臨戦態勢に切り替わる
例えば、そう、艦内スピーカーから、マイクを繋いだ際の独特な不快音が流れるだけで
《総員に通達》
反射的に、ほぼ全ての隊員が銃に手をかけたのは、恐らく知らない人間がその場にいたならば腰を抜かしたに違いない
《間もなく、連合軍友軍艦隊と合流する。ただちに甲板に整列せよ。繰り返す……》
その放送内容で、随分長い間休息をとっていたことを悟る
合流は出航した東カーライナ軍港から400kmの地点だったはず。30ノット(約56km毎時)で航行していたとして、7時間近く経っていたことになる
『気が緩んでいたか……』
だが、それを悪いこととは別段思わなかった
弓の弦は張り詰め続ければ弱くなる。使わぬ時は外しておかねばならない
それが、今だっただけだ
クロイツは総員に甲板整列命令を出し、自らも甲板に向かった
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