舞踏会~ラストダンス~

15/50
1253人が本棚に入れています
本棚に追加
/156ページ
《ありがとうございます。隊長、第一分隊長、マカロフ改め、ヴィクトル・ヴェデルニコフ中尉であります。この瞬間を、夢見ておりました》 《北方系か、道理で、頭が堅い》 クロイツがそう揶揄すると、わずかに笑い声が聞こえた 《だが、良い名だな、ヴェデルニコフ中尉、その名、生涯忘れまい》 《………はっ!!》 《隊長!!ジェーン改め、レティシア・ルフェーブル中尉であります!!私の名も、是非!!》 《…あぁ、よく聞こえたよ、ルフェーブル中尉、耳鳴りがする程にな》 無線で、しかも比較的な静かなこの状況で、甲高い声で高らかに叫ばれれば、耳も痛くなる 《も…申し訳ありません……》 《いや、構わん。第一印象は大事だ、そうだろ?》 《隊長、本官はウィザード改め、エドゥアルト・ハイゼンベルク中尉であります》 《随分大層な……いや待て、ハイゼンベルクだと?》 《お察しの通り、本官はかつてはハッカーでありました》 おどけた口調で言うが、確かハイゼンベルクと言えば、大陸各国の機密情報を次々と抜き出した上に、それを公開したりするでもなく、ただその事実と証拠を各国に突き付けただけという不思議な天才ハッカーだ 《まぁあれは、酔ったノリでやっただけですが》 《………これほど強烈な自己紹介は初めてだよ、ハイゼンベルク中尉》 《隊長、バザード改め、アルベリック・スターレンス中尉です》 《スターレンスだと?》 《はい、王立陸軍士官学校、スターレンス校長は私の父です》 《なる程、あの一癖も二癖もある校長の子息だったか。これからは、君にも警戒するとしよう、スターレンス中尉》 その後も、他の隊員達が続々と名乗りを上げていく クロイツは、その名を全て記憶に刻み込んだ 名乗った後、噛み締めるように小さく呟いたりしながら
/156ページ

最初のコメントを投稿しよう!